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四川キュウリ・・・自根のキュウリ・・・
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写真のキュウリは当店でも使用している、四川(しせん)キュウリと言われる長細くてトゲが鋭い昔ながらの品種のキュウリです。
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どうですか、トゲがビンビンに尖っているでしょ。
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しかもこのキュウリはカボチャに接木(つぎき)していない自根のキュウリなので皮が薄くて中はみずみずしく、シャキっとした歯ごたえでとっても美味しんです。
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子供の頃食べていた塩や味噌をつけるだけで何本でもバリバリと食べれた、懐かしいキュウリ本来の味がするんです。

実は現在こういうキュウリは、一部の農家の直売所か家庭菜園でないと見掛けられない稀少なものになっています。

農家にとっては常識でも、一般的にはあまり知られていない事なのですが、今、日本のスーパーなどで一般的に売られているキュウリのほとんど(99%位?)は、カボチャの苗に接木して作られているのです。
カボチャの苗の途中からキュウリの苗をくっ付けるのです。
また、同じく瓜科のスイカも接ぎ木してつくります。

少し前までは農家で台木のカボチャの苗とキュウリの苗を接ぎ木していましたが、今ではほとんどの農家が既に接ぎ木された苗を購入しているそうです。(この間テレビで自動で接木してくれる接木マシンなるものを紹介してました。)

接ぎ木のイメージは下の動画をご参考に・・・
(スイカの接ぎ木&英語なのですが・・・) ↓

    (私が見たきゅうりの接ぎ木とは少し違いますが大体はこんな感じです。)


赤塚不二夫的に言うなら『うなぎイヌ』ならぬ、『カボチャキュウリ』なのだー!! と言った所でしょうか。

カボチャの苗を台木にする事で、低温や病気に対して強く、繁殖力が強くなり収穫期間及び収穫量が増え、実が曲がらずに真っ直ぐに育ちやすく、皮が濃い緑色になり、ブルームと呼ばれる白っぽい果粉が出ないので(ブルームレスと言うんですが)見た目がきれい・・・・といった生産者や販売店にとっての利点がたくさんあるのです。

ここまでなら『これでいいのだー!』となるのですが、接木したキュウリは“自根のキュウリ”と比べ、皮が厚くて中身がフニャッとしたものになります。
作りやすくて売りやすく見た目が(一般的には)良くなった反面、食べる側にとって本当に重要な味や食感は損なわれてしまった訳です。


誰もが近所の八百屋さんで買い物していた頃は、どのザルにも曲がったのや小さいのが1~2本入っていて『一山で何円』というスタイルで売られていたのに、スーパーが台頭するようになってからは、白いトレーにラップして売られるようになったため、曲がったキュウリやブルームの付いたキュウリが嫌われ、売れなくなったという事も大きな要因のようです。


作りやすくてたくさん採れて、見た目がきれいで日持ちする、そんな都合の良さを重視すると、野菜本来の美味しさが失われて昔のように塩や味噌をつけるだけでは味が物足らなくなる。
そうすると濃い味のマヨネーズやドレッシングがたくさん売れるようになる。
風が吹けば桶屋が儲かる・・・、そんな感じでマヨネーズやドレッシングが良く売れる訳です。

以前、野菜の種のカタログの中である農家の人が「野菜の品種には必ず一長一短があって、消費者向けの品種は生産者泣かせ、生産者が作りやすい品種は消費者が好まない、生産者と消費者が好む品種は市場流通関係者が好まない。」ということを書いていましたが、消費者が何も言わなければ、市場は知らないうちに生産者や流通関係者に都合の良い商品ばかりになってしまうという、ある意味恐ろしい事になる訳です。

もちろん、接木する事が悪い訳ではありません。
多くの消費者が自分たちの消費しているものが誰がどこでどのように作っているのかを気にしなさ過ぎるのは、ある意味恐ろしいことだと思います。

まずは我々消費者が消費する商品についてもっと勉強したうえで、自分なりの価値基準を身に付けなければいけないのだと思います。



あっ、ここから先は本題からそれるので、お急ぎの方は↓の緑色の部分はとばして下さい・・・

食糧自給率が低くて輸入に頼っている日本では、そのうちに遺伝子組み換え野菜やクローンの肉しか手に入らない・・・なんて事になりかねません。

自給率200%のアメリカでは世界的な食糧&水不足が進む将来を見越して、わざわざお金をかけて、倫理的な批判を受けながらも遺伝子組み換えやクローンの開発を進めているのですから・・・。

10年以上前の確かNHKスペシャルで観たのですが、
アメリカの大学で農業を学んでいた日本人が授業で『第二次大戦後は核爆弾だけでなく、穀物を中心とした食糧の輸出国になることで、日本を始めとするそれらの輸入国を支配できる時代になる。“穀物が“第二の核”となり、この二つの“核”で世界を牛耳る』という事を教わったそうです。

大学の農業の授業でもしっかり国の政策が落とし込まれている、このあたりが世界の中での自国の在り方や国益を常に意識して考えているアメリカと日本の差なのではないでしょうか。
国家としての戦略の差を感じます・・・。

奇しくも本日8月15日は終戦記念日ですが、戦後アメリカのGHQの指導の下、パンや肉食を推進していった日本は、終戦直後からからアメリカに『第二の核』で支配され始めていたのですよ。
戦後60年以上経った現在、日本は食糧自給率40%・・・、まんまとアメリカに『二つの核』で牛耳られている訳です。
恐るべしアメリカの戦略・・・、情けなし日本・・・・。

BSEや遺伝子組み換え・クローンなどでの安全性の問題で、日本人の多くはアメリカに反対を唱えていますが、中国やインドの人たちにもパンや肉中心の食生活を薦めているアメリカにとっては、『これからは世界の人口が90億人位まで増えていくんだし、中国やインドがいいお客さんになって行くんだから、日本人はあれはダメ、これはダメって言わずに遺伝子組み換えやクローン肉も食べなよ。
自給率40%のくせに文句ばっか言ってると日本に食糧輸出してやんないよ。』と余裕綽々といったところでしょうか。



と、まぁ随分と長くなり過ぎましたが、話をまとめますと・・・

『塩だけでも美味しく食べられる、いまや貴重品の自根のキュウリ、当店で召し上がれます!』

ということです。
by n-buono | 2009-08-15 00:11 | 旬の食材&畑だより | Comments(2)
Commented at 2009-09-01 17:21 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by n-buono at 2009-09-05 23:54
>Uさん、コメント有難うございます。

ご紹介の方にもご来店の際には店長に声を掛けて下さいとお伝え下さい。

もちろん、Uさんのご来店もお待ちしております。
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